あるところにひとりの嘘つきな羊飼いがおりました。

あるところに正直で心の優しい羊飼いと、その羊飼いに助けられたライオンがおりました。

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APOCRYPHA / FILE NO.013

THE BOY WHO CRIED WOLF — ALTERED STORY

LEOPHI

レオフィ

「狼は俺が追い払う。
坊主は、羊を見ててやれ」
ROLE / THE LION WHO GUARDS THE SHEEP
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01 / PROFILE

羊飼いの坊主を守る、
兄貴肌のライオン。

ライオンの獣人。縄張り争いに敗れて居場所を失い、今は羊飼いの少年「坊主」と共に暮らしている。面倒見のいい兄貴気質で、友のためなら狼の前にも立つ。

羊を喰う狼は嫌いだが、それ以外を喰う狼や話のわかる狼なら、そこまで嫌ってはいない。名前の由来は、レオと、ギリシャ語で友情を表すフィロイ。

NAME
レオフィ Leophi
MOTIF
『オオカミ少年』
02 / THE REWRITTEN STORY

書き換えられたことで出来上がった物語

少年は、
嘘つきじゃない。

書き換えられたのは、物語の最初の一文。
嘘つきの羊飼いの隣に、いるはずのないライオンが現れた。

本来の物語には、嘘つきな羊飼いの少年がいる。
少年は「狼が来た」と嘘をつき、村人たちを何度も騙す。
やがて本当に狼が来たとき、もう誰も少年の言葉を信じない。
羊は喰われ、物語は嘘をつくなという教えで終わる。

しかし、その頁は書き換えられていた。
あるところに、正直で心の優しい羊飼いと、その羊飼いに助けられたライオンがおりました。

そのライオンは、雄同士の縄張り争いに敗れた。
かつていた土地に、もう居場所はなかった。
森へ、サバンナへ、様々な場所を転々とする日々が続いた。

負けた雄に、帰る群れはない。
どこへ行っても、そこは誰かの縄張りだった。
彼はただ、歩き続けるしかなかった。
腹が減れば狩りをする。けれど、もう誰かのために吠える理由はなかった。

転々とする中で、ある話を耳にした。
野生の狼に、羊飼いの羊が頻繁に喰われているという。
そのとき、ふと思い出した顔があった。

昔は赤ん坊だった、あの坊主。
今は羊飼いをしていると聞いた。
狼は群れでやって来る。少年一人で守り切れるものではない。
知らない顔をして通り過ぎることも、できたはずだった。
それでも、なにか力になれないか。
そう思ったとき、足はもう坊主のもとへ向かっていた。

やはり、坊主の羊も被害にあっていた。
狼を退治するため。
羊を喰われないようにするため。
ライオンは、羊追いとして坊主と共に過ごすことになった。

牧羊犬ならぬ、牧羊獅子である。

坊主は、大きなライオンを前にしても逃げなかった。
羊たちも最初こそ怯えていたが、やがて慣れて、足元で草を食むようになった。
羊を喰うはずの獣が、羊を守る。
おかしな協力関係は、こうして始まった。

坊主は正直だった。
狼が出ることを、村にしっかりと伝えた。
嘘など、ひとつもついていない。

ところが、ライオンがあまりにも見事に狼を追い払ったせいで、村には狼の影ひとつ見当たらない。
村人たちは首をかしげ、やがて坊主をこう呼んだ。
嘘つき、と。

本来の物語と同じ言葉が、まったく違う理由で、少年に向けられてしまった。
自分が働きすぎたせいで、友が嘘つき呼ばわりされる。
これには、さすがのライオンも頭を抱えた。

けれど、誤解はすぐに解けた。
少年は嘘つきではない。
狼の姿がないのは、それを追い払う者がいるからだった。

本来の物語なら、誰も少年を信じず、羊はすべて喰われるはずだった。
この物語では、羊は無事で、少年は信じてもらえた。
たった一文の書き換えで、教訓話は、ひとつの友情の話に変わった。
誰かが嘘をつかなければ、物語はこんなにも穏やかに進むのだ。

嘘つきと呼ばれたが、誰よりも優しかった少年。
ライオンは、その少年と友になった。
居場所をなくした雄にとって、坊主と過ごす場所が、ようやく帰る場所になった。

彼の名前は、レオフィ。
レオと、ギリシャ語で友情を意味するフィロイから。

「坊主は、嘘なんかついちゃいねぇ」

レオフィは、狼のすべてを憎んでいるわけではない。
羊を喰う狼は嫌いだ。
けれど、それ以外を喰う狼や話のわかる狼なら、そこまで嫌っていない。
線引きは単純だ。坊主の羊に手を出すかどうか、それだけである。

兄貴気質で、面倒見がいい。
今も羊飼いの少年を「坊主」と呼び、共に暮らしている。
赤ん坊の頃を知っているのだから、いくつになっても坊主は坊主だ。
友のために狼の前に立つことを、彼は当たり前だと思っている。

今日もレオフィは、坊主と羊のそばにいる。
夕暮れの草原で、羊の数を数える少年を横目に、遠くの影へ耳を立てる。
夜になれば少年の隣で横になり、狼の声がすれば片目だけを開ける。
その姿を、もう誰も恐れはしない。

「嘘つきだって?
あいつは誰より正直だぜ」

こうして、嘘から始まるはずだった物語は、一頭のライオンと一人の少年の友情として、今も草原で続いている。

THE FLOCK IS STILL SAFE BEYOND THE LAST PAGE.

居場所をなくしたライオンは、
今日も友のそばで羊を守る。

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