フランケンシュタインは二人目を作るのを止め、機器を海へ投げ捨てた。

ヴィクター・フランケンシュタインは、二人目の人造人間を作り出した。

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APOCRYPHA / FILE NO.012

FRANKENSTEIN — ALTERED STORY

ANTHEA

アンシア

「ねえはかせ! って、あはは〜、
はかせはもう、いないんだったっけ?」
ROLE / THE SECOND CREATION WHO WANTS TO BE HUMAN
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01 / PROFILE

人間になりたい、
二人目の人造人間。

世間知らずで、後先を考えずに動いてしまう命知らず。喧嘩には弱く、笑いのツボが少し変わっている。外の世界が大好きで、いつも「はやくお外で遊びたいよ〜」と言っている。

身体はとても脆く、少しの衝撃で首や腕が外れてしまう。寝癖を直すために自分で首を外すこともあるが、それをおかしいことだとは思っていない。

NAME
アンシア Anthea
MOTIF
『フランケンシュタイン』
02 / THE REWRITTEN STORY

書き換えられたことで出来上がった物語

機器は、
捨てられなかった。

書き換えられたのは、博士のたった一つの決断。
作られなかったはずの少女が、雷の夜に目を開けた。

本来の物語で、ヴィクター・フランケンシュタインは、二人目の人造人間を作る作業に取りかかる。
しかしさらなる怪物の増加を恐れ、作るのを止めて、機器を海へ投げ捨てた。
二人目は、この世に生まれなかった。

しかし、その頁は書き換えられていた。
ヴィクターは、二人目の人造人間を作り出した。

雷鳴が山々を震わせる深い夜。
古びた屋敷の地下で、実験台に一人の少女が横たわっていた。
最初の創造物を見たとき、ヴィクターは恐怖に耐えられず逃げ出した。
今度は違う。自分が目を背けずにいられる存在を作りたかった。

最後の器具を外すと、少女の胸がわずかに上下した。
自分が何者なのかと尋ねられ、ヴィクターは少しだけ黙った。
怪物でも、実験体でも、創造物でもない。
「アンシア」。それが、彼女に与えられた最初のものだった。

アンシアはその響きを口の中で転がし、小さく笑った。
その瞬間、ヴィクターの胸に、責任だけでは説明できない感情が生まれた。
最初の創造物に抱いた恐怖とは、まったく正反対の愛だった。

アンシアは少しずつ世界を覚えていった。
初めて雪が降れば窓辺から離れず、蝶を見つければ追いかけ、雨が降れば夜まで窓を眺めていた。
静かな屋敷に、足音と笑い声が響くようになった。

問題は、その身体が驚くほど脆かったことだった。
少しの衝撃で首や腕や脚が外れ、長く歩けば熱を出す。
ある朝、庭の小鳥に夢中になった彼女は椅子から落ち、腕を外してしまった。
それでも気にしていたのは、小鳥がまだいるかどうかだった。

ヴィクターは呆れながら治療をした。
階段を一人で下りることを禁じ、庭には必ず付き添った。
怪我が治れば、アンシアはまた外へ行こうとした。

やがてアンシアは、人間について書かれた本を読むようになった。
人間には家族や友人がいて、自分の住む場所を選び、自分の人生を決めている。
自分には名前がある。それ以外は、何も決まっていない。

ある夜、暖炉の前で、アンシアは人間になりたいのだと伝えた。
ヴィクターはすぐには答えられなかった。
けれど否定もせず、彼女が望むならその方法を探したいと思った。
深い話をしていたと思えば突然鳥を追いかけ、難しい質問の直後に夕食の話を始める。
そのちぐはぐな明るさが、彼には愛おしかった。

庭の端から屋敷の裏手へ、森の入り口へ、そして門の前へ。
ヴィクターは支えられる距離を保ちながら、彼女が手を伸ばすまでは手を出さなかった。
初めて町へ出た日、アンシアは店先の果物や遊ぶ子供たちに笑った。
けれど帰り道、足は動かなくなった。

抱き上げられながら、彼女は悔しそうに自分の足を見つめた。

人間になるとは、何でもできる身体を手に入れることではない。
できないことの中で、どう生きるかを自分で決めることなのだ。

それからアンシアは、毎朝短い距離を歩き、疲れれば休み、怪我をすれば自分で手当てをした。
ある日、研究室の机に、衣服、薬、包帯、食料、小さな薬箱が用意されていた。
ヴィクターは何も言わなかった。

寂しかった。それでも嬉しかった。
守られるのではなく、任せてもらおうとしているのだと分かったからだ。
一人で買い物をし、食事をし、少しずつ町までの距離を伸ばしていった。
そばに置き続けるだけではいけない。
彼女が望む人生を歩けるようにすることも、愛なのだと、彼は理解していた。

ある夕暮れ、アンシアは一人で庭を横切り、門の前まで歩いた。
肩には自分の荷物がある。
ヴィクターは引き止めず、いつものようにそこに立っていた。
身体は相変わらず弱い。
それでも、自分で歩ける。自分で休める。助けが必要なら、自分から求められる。
自分で帰る場所を決めることもできる。
アンシアは一度だけ振り返り、微笑んで、門を開けた。

もう誰かに抱き上げてもらわなければ進めない少女ではない。

「アンシアはね、アンシアっていうの!」
難しいことはわかんない、と笑いながら、博士がつくったじんぞーにんげんなのだと、誰にでも話す。
世間知らずで、後先を考えず、喧嘩にも弱い。
笑いのツボは、少しだけ人とずれている。

今のアンシアは、人間になる方法を探している。
ときどき「ねえはかせ!」と呼びかけて、あはは〜と笑う。
腕が外れれば、なおすのめんどくさーいと口をとがらせる。
そして誰かに寝癖を指摘されれば、当たり前のように自分の首へ手をかける。

「え? 寝癖がついてる?
まってね、すぐなおすから!」

こうして、捨てられなかった機器から生まれた少女の物語は、与えられた名前を胸に、今も自分の足で続いている。

SHE KEEPS WALKING BEYOND THE LAST PAGE.

人間になりたい少女は、
今日も自分の足で門の外を歩く。

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